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ゆっくりと目を開ける。僅かだが埃が舞っており、喉に引っかかって咳が出た。
辺りを見渡すのは一瞬で事足りた。小さな小さな部屋。倉庫のような場所で、隅にはダンボールが積みあがっている。
身体を動かそうとしたが、後ろ手に縛られていて動けない。足首にもロープが巻かれていた。少しでも動くとロープが食い込み、痛みが走る。
目の前に大きな扉があった。ここがどこなのかはわからないが、一刻も早くここから出なくてはと思った。
インフェクトに攻撃されていたオウルは無事だろうか。そして、慧はこのことを知っているのだろうか。
こうならないよう注意していたはずなのに、見事に敵の罠に嵌ってしまった。蛍は自分の軽率な行動を悔やむ。
あの女児は、罠だったのだ。インフェクトじゃなかったから、油断した。まさかインフェクトが人間を操れるなんて思いもしなかった。
「慧さん……オウル……」
あれほど守ってくれようとしていた二人を裏切る形になってしまい、蛍は唇を噛み締める。しかしすぐに顔を上げ、もう一度周りを見渡す。
ダンボール以外、何もない部屋だった。窓さえもない。音も聞こえない。音が聞こえないということは、ここは地上ではないのだろう。
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