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「でも、学校じゃいつも楽しそうにしてたわよね? そこそこの友だちと吊るんで」
「何も知らないくせに、そこそこなんて言わないで。私にとっては大切な友だちなの」
「どうして? そこそこじゃない。成績だってさほど良くなく、中の下? スポーツだってそれほど得意でもない。容姿に優れているわけでもないし、ほーんと、どこにでもいる普通の人たち」
馬鹿にするような言い方に、蛍はカチンときた。
「それでも! 私にとっては最高だったの! 別に成績が良くなくても、スポーツができなくても、容姿が整ってなくてもいい! そんなこと、全然必要じゃないっ!!」
大声をあげると、また埃が口の中に入り、むせる。ゲホゲホと苦しげに息をつく蛍を見て、優美は弱い者をいたぶるような目でクスクスと笑った。
「なにそれ。じゃあ、何が必要だっていうの?」
「相手の立場を思いやれる優しさとか、気遣いとか、そんなの数え切れないほどあるよ!」
咳で苦しいのと、大切な友だちを貶されたので、蛍の目には涙が滲む。それでも、一歩も引くわけにはいかない。
優美の意図はわからないが、とことん逆らってやると思った。
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