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店の中に入るやいなや、ボディーガードのように屈強な男数人が立ちはだかる。
「申し訳ございません。ただ今準備中でございます」
言葉遣いは丁寧だが、態度は荒々しい。ここを強行突破するとなると、彼らを蹴散らす必要がありそうだ。
「警察だ」
水無月が手帳を見せた。しかし、男たちは眉一つ動かさない。
「何の御用でしょうか?」
「ここに、行方不明になった女性たちがいると情報が入った。中を捜索させてもらう」
「困りますねぇ。令状はお持ちでしょうか?」
そんなものはない。ここへ乗り込むのは、水無月と翔平の独断なのだ。仮に請求したとしても、証拠も何もないので令状など出るわけがない。
「残念ながらないんだよね。でも、通してもらえないかな」
「困ります」
前に進もうとした慧を、男の一人が押さえる。ものすごい力に慧は眉を顰めた。
男たちは三人。男たちから見えるこちらの人数と同じだ。こちらが一人多いことを知っているのは、慧と翔平だけ。オウルを見ると、鋭い視線で男たちを睨みつけている。やる気満々といった様子に、慧は苦笑した。
「いつになく攻撃的だね」
「当たり前です!」
蛍を攫われたことで、オウルも気が立っている。自分の目の前でのことだったので、よけいだ。
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