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「遠慮はいらない。いっそ穴でも開けてやれば?」
小声で交わす慧とオウルの会話を聞きながら、翔平は困った顔をした。
「手加減するとこっちがやられそうだからそれはいいとしても……穴開けるのはマズイんじゃないかな……」
「おいっ! 令状持ってこいって言ってるだろうがっ!」
見ると、水無月が強引に進もうとしていた。男の一人がそれを押さえるが、水無月はものともしない。一人一人を相手にするなら、おそらく誰も水無月には敵わない。しかし、さすがに三人一度に相手をするのは難しいだろう。
「うるせー! 通せって言ってんだ、おらっ!!」
水無月の迫力に、翔平は益々困った顔をする。
「これじゃ、どっちが悪人かわからないよな……」
その時、ガシャン! と大きな音がした。男の一人が近くのカウンターに並べられていたグラスを水無月に投げつけたのだ。水無月は易々とそれを避け、グラスは壁にぶつかり、粉々に砕ける。
「やれやれ、乱暴だな」
どっちが!! と慧も翔平も心の中でツッコむが、即座に身構える。すぐさま男たちが攻撃してくることは明白だった。
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