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「そっちの情報は全て掴んでます、なんて得意げな顔されても、痛くも痒くもないよ。そんなことは想定済みだ。で、捜索はさせてくれるのかな?」
慧が煽るような視線を投げると、朔弥の口元が一瞬引き締まり、その口角が上がった。
「行方不明者がここにいるなど、どこから仕入れた情報なんだか。こんなところにいるはずがないでしょう?」
「そうかな? 彼女たちは全員君にご執心だったようだし、ここで囲っている可能性は充分あると思うけどね」
「ハーレムを作る趣味などないんですがね」
「戯言はそこまでだ! で、どうなんだ?」
水無月が凄むと、朔弥は肩を竦め、両手を広げた。
「お気の済むまでどうぞ。ただし、開店時間までにお願いしますよ」
「もちろんです。ご協力、ありがとうございます」
翔平が一応とばかりに礼儀正しく頭を下げる。
水無月はというと、早速人が隠れられそうな場所を片っ端から見て回っていた。朔弥の端で待機している男たちは、どことなく悔しげな表情をしているように見える。そんな男たちに挑発的な態度を向けながら、水無月は捜索を続けていく。
「これ、どう見てもこっちが悪人……」
ハァ、と溜息をつきながら、翔平も水無月とは違う場所を探し始めた。水無月とは違い、翔平は男たちと目も合わせない。
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