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「申し訳ございません、七桜様。こんなに早く、この場所を嗅ぎつけられるとは……」
七桜の方を向いて頭を下げる朔弥に、七桜は嬉しそうに首を横に振った。
「いいえ。少しは骨があるようでよかったわ。もう少し楽しい時間は続くみたい」
「……僕は今すぐ終わらせたいね」
慧が皮肉げに口元を歪めると、七桜は益々楽しげに笑う。
「あら、そんなつれないことを言わないで。あなたの大切なヒーラーは何とか無事だったようだし、まだ遊べるでしょう?」
「お前の目は節穴か? こんなに傷つけておいて無事とか……どの口が言う」
蛍は慧を見つめていた。しかし、そこに意思が宿っているかは定かでなかった。感情のこもらない瞳で、慧を見つめ続けている。
「命は助かったけれど、精神は瀕死、もしくは死んじゃったかしら? これならいっそ、ひとおもいにあのインフェクトに殺された方が幸せだったかもね」
「黙れっ!!」
慧が憎しみのこもった視線で七桜を射る。今すぐにでも殺してやるという殺気に、朔弥が僅かに眉根を寄せた。
「七桜様」
「あなたは手出しをしないで」
「しかし!」
「うるさいわね!」
七桜が声を荒らげると、朔弥が小さく呻き、膝を折る。どのような攻撃を受けたかはわからないが、朔弥は明らかにダメージを負っている。
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