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慧は力を放出し、更に結界を何重にも張って強固にする。そして、優美であるインフェクトの瘴気を喰らうオウルに向かって叫んだ。
「オウル! 一気に喰らい尽くせ!!」
「はい!!」
オウルのスピードが一瞬にして上がる。慧の放つ力を得て、オウルは次から次へと放たれる瘴気を片っ端から喰らい尽くしていった。
インフェクトはそれに抗うが、優美はインフェクトとなった三十三人もの女性たちの瘴気を身に取り込んでいるとはいえ、七桜曰く失敗、そして自らがインフェクトにされたのはほんの数十分前だ。慧とオウルの攻撃に、それほど長く耐えられるはずもなく、あっという間に力尽きる。
「が……あ……ぁ……」
瘴気を全てオウルに喰われたインフェクトが地に伏す。足掻くように爪を立て、それきり動かなくなった。
「呆気ないものね。まぁ、さっきインフェクトにしたばかりだから仕方がないわ」
つまらなそうに言うと、七桜は慧たちに背を向ける。
「待て、どこへ行く?」
「どこへって? おかしなことを言うのね。……ショーは終わったわ。もうここに用はない」
「そっちはなくても、こっちにはある!」
結界を解き、もう一度七桜に向けて攻撃を放つ。しかし、その攻撃も朔弥に阻止されてしまった。
「お前、駒だって言われてるんだよ? どうしてそこまでする?」
慧が朔弥に問う。朔弥は苦しげに息をつきながらも、七桜の背を庇うように立ち上がった。そして、真っ直ぐに慧を見据える。
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