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今日もパソコンに向かって指を一生懸命動かしている蛍の肩の上で、オウルは蛍の顔をじっと見つめていた。
視線はモニター画面に釘付けで、仕事に集中している。集中している蛍は肩の上にいるオウルのことを忘れてしまうらしく、時折急な動きをしてオウルは振り落とされそうになってしまう。
でも、集中している蛍の真剣な横顔もオウルは好きだった。いつもの笑顔とは違い、キリッとしている。結局のところ、蛍がどんな表情をしていようが、オウルは蛍が大好きなのだ。
オウルは少し距離を詰める。すると、羽毛が蛍の髪に触れ、蛍がこちらに気付いた。
「ん? どうしたんですか、オウル」
「一生懸命な蛍が可愛くて、もっと近くにいたくなりました」
「お、オウル!?」
蛍の頬が赤くなる。そんな瞬間もたまらなく可愛らしいと思う。
オウルが嘴でちょんと蛍の頬をつつこうとすると、にょきっと現れた手の平に阻まれた。
その主は見なくてもわかる。慧だ。
「フクちゃん、仕事中まで甘えるの禁止!」
「甘えてません」
「甘えてるでしょ!」
オウルはプイと横を向く。
一心不乱にパソコンに向かっていたというのに、この目ざとさはなんなのだろうか。
オウルがちょっとでも蛍にくっついたり甘えようとすると、すぐさま阻止しに来るのだから。前だけでなく、横にも後ろにも目があるのではなかろうか。
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