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「慧さん、少しくらいいいじゃないですか」
「よくないっ」
「仕事の邪魔をするでもないし、私も癒されます」
「蛍ちゃんはフクちゃんに甘いっ！」
甘くて何が悪いのだろうか。
いや、オウルにだってちゃんとわかっているのだ。蛍がオウルに甘いことを、慧はよく思っていない。
何故なら……。
「フクちゃんに甘いなら、僕にも甘くして!!」
そう、これなのだ。要は嫉妬なのだ。まったく大人げないマスターだ。
蛍を見ると、蛍は困ったように笑っている。
「甘くしてって……。私、慧さんに厳しいですか？ 特にあれこれうるさく言ってるつもりはないですけど」
「そういうことじゃないの！ ……でも、甘くしてっていうのはちょっと違うか、うん」
納得したように頷くと、慧はニッと笑って言った。
「蛍ちゃんが僕に甘えてくれたらいいんだ！」
「……はい？」
蛍が訝しげに首を傾げる。オウルも同じように身体を斜めに傾ける。
「甘えるって……何を？」
慧はニマニマと締まりのない表情で、後を続ける。
「『慧さんの側って安心します』とか言って、くっつくとかー、『今日は帰りたくないんです！』とかって抱きついてくれるとかー」
「……」
蛍を見ると、その表情は無になっている。その気持ちはオウルにもよくわかった。まったくこのエロマスターは何を考えているのか。
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