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「オウル……段々攻撃が過激になっていってませんか?」
慧の背に止まっているオウルを見て、蛍が溜息をつく。
そうかもしれないが、それは慧が悪いのだ。蛍にちょっかいをかけようとする者は、誰であろうが許さない。
オウルは蛍を見上げ、大きな瞳をまばたきさせた。
「私は蛍を護りたいのですっ!」
そして、じーーーーっと食い入るように蛍を見つめる。すると、蛍はいつも小さく笑う。
「ありがとうございます、オウル」
そう言って、蛍はオウルの額を何度も撫でてくれる。オウルは嬉しくなって、蛍の左肩に飛び移り、頭を頬に擦り付けた。
「フクちゃん……凶暴……」
「慧が悪いのです! 電話の振りをして蛍の側へ行くなんてっ!」
「なんだよ! フクちゃんはいっつも蛍ちゃんにくっついてるだろ! 僕もくっつきたいっ」
「ダメですっ!」
「不公平っ!!」
「あーはいはい。ったく、聞き分けのない子どもですか」
蛍はハァーと大きく息をつくと、慧の腕を引っ張って身を起こさせる。そして、一瞬だけれど、ぎゅっと抱きしめた。
「蛍ちゃんっ!」
「蛍っ!」
「これで平等ですよね。で! 慧さん、背中の手当てしますから、休憩室で待っててください。救急箱取ってきますから。オウルはそこにルイボスティーが淹れてありますので、それを休憩室に持っていってくださいね」
蛍はそう言って、足早に給湯室を出て行った。後に残されたオウルと慧は顔を見合わせる。
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