事の始まり

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 オウルは人外生物なので翔平には見えない。ただ、オウルは人の姿になることもでき、その時は翔平や他の人間も確認することができる。フクロウ姿のオウルが見えるのは、蛍と慧だけだ。  慧は、不可解な事件の一要因となっている「インフェクト」という人外生物を排除できる能力を持っており、オウルは慧の護りである。そして、インフェクトが放つ瘴気を食らう。  インフェクトの瘴気は、人にとっては危険な代物だ。その瘴気に犯された人間は、遅かれ早かれ様々な形で死を迎える。  英探偵事務所は、そういったインフェクト絡みの事件のみを扱う探偵事務所であり、普通の探偵事務所で扱うような仕事は一切行わない。  蛍が何故そんなところで働くようになったのか。それは、なんということはない一つの出会いがキッカケだった。  就活中、オフィスビル内のエレベーターで、オウルと一緒にいる慧と出くわした。  その時の驚きは今でもはっきりと覚えている。どうしてこんな場所にフクロウがいるのか。  しかし、そんなことは吹っ飛んでしまうほど、オウルの美しさに目を奪われた。知性溢れる大きな丸い目に、真っ白く雄々しい翼。目が離せなかった。  人に見えないはずのフクロウ姿のオウルが見える蛍を、慧はスカウトする。特殊な能力を持つ蛍は、慧にとって待ち望んでいた人材だったのだ。  かくして、蛍は英探偵事務所の一員となる。インフェクト案件がない時の仕事は、主に慧がハードディスクに散らかしたデータの整理だ。  慧はシステム開発者としての顔も持っており、国内外多数の企業と取引をしている。その収入で事務所を維持しているようなものだった。なので、蛍はいわばその後始末というか、後片付けといったようなことで給料を得ている。
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