事の始まり

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 もちろん、インフェクト案件が入ってきた際にはそちらが最優先となる。インフェクトを特定し、排除するために、全力を注ぐ。  インフェクト案件の入口は、大抵は翔平が持ってくる不可解事件の調査依頼だ。警察で見過ごされたような事件だったり、暗礁に乗り上げた厄介な事件、それらを調査していくと、インフェクトが絡んでくることが多い。  蛍は翔平から渡された封筒を見つめ、呟くように尋ねた。 「不可解事件の資料ですか?」  すると、翔平は笑いながら首を横に振る。 「ううん、違うよ。警視庁で把握しているサイバー犯罪のデータなんだ。今度構築するシステムの参考にしたいらしい」  それを聞いて、蛍が目を丸くした。 「そんなデータ、一般人に渡しちゃって平気ですか? しかも、プリントアウトされてるし。メールで送った方が安全じゃ?」 「送受信は管理されてるからね。うちからは送れないんだ。でも、慧にデータを渡すことは、ちゃんと上に許可を貰ってるよ」 「許可が取れちゃうってとこが凄いですよね」 「まぁ、慧に協力してもらうこともあるだろうしね。持ちつ持たれつだよ」  サイバー犯罪対策にも明るい慧は、時折手伝いに借り出されることもあった。そういったこともあり、慧は警察に顔がきくのだ。
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