月がとても綺麗で

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少し無言になった。 何か言わなきゃ、何か言わなきゃと必死に考える。 「…辛かったな」 ようやく出た言葉がこれだけだった。 時折鼻をすする声が微かに聞こえる。 まるで、電話に音が漏れないよう受話器に手を当てているかのように。 里子は泣いていた。 僕は里子が落ち着くのをじっと待った。
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