私から貴方へ、貴方から私へ

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私達はあやめの兄である東海支部支部長の蓮華さんに挨拶をする。実家の山たんフーズも東海地区では有数の企業に成長したが、これも7年前に月島グループの傘下に入って発展してきたのだ。失礼のないようにしないと…。 「おや?君は…。三鏡院さんのところの…。」私が挨拶をしようと頭を下げようとしたときに、蓮華さんから話しかけられた。 ???なんでこの人は私を知っているの?お会いするのは確か初めてじゃあ? 「ふふっ、覚えていないのも無理はない。あれは君が五歳くらいのときだったからね。」 どうやら傘下に入った時に行われた記念パーティーに蓮華さんも出席していたらしく、迷子になった私を連れて帰ってくれた恩人だったみたいだ。当然記憶にない。 「聖子ちゃんはずるいです。私お兄様におんぶしてもらったことない。」ぷくっーと拗ねるあやめ。どうやら泣きつかれた私をおんぶしてくれたみたいだ。 「お前は裕にしてもらってるだろう?」蓮華さんの反撃に真っ赤になって黙ってしまうあやめ。そうよ。貴女は学校でも一二を争うイケメンに大切にされてるのよ。 「それは素敵な出会いではないですか?」 「なんで素敵なのよ?」 「親会社の次期社長ですよ。しかも5年前の幼いお嬢様を覚えていらっしゃったんですよ。」 「それは私が迷惑かけたからでしょ?」 「妹のあやめ様にもしたことのないおんぶだなんて…。しかも、蓮華様と言えば屈指のイケメンだとか。」 確かに蓮華さんはかっこよかった。嶋田君や佐々木君も男前たが、大人の魅力というのか…。いままでに見たことがないとびっきりの男性だった。 「お礼いいそびれちゃったな。」 「今らでも遅くはないですよ。」 「けど番号やアドレスしらないし…。」 若宮さんは少し考えて、「これですよ。お嬢様。」といって、一通の便箋を渡してきた。
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