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特別な日 10
「ルシカ、いいのか。今朝もいろいろ忙しいんだろ?」
テロンの言葉に、ルシカはハッとして声をあげた。
「あああッ、いっけない! そうだった――ごめん、またあとでね!」
ふたりに向けて手を挙げるのと言葉を掛けるのとを同時にしながら、ぱたぱたと走り出す。
「あ――ルシカ。転ばないよう気をつけろよ!」
追いかけるようなテロンの言葉が終わらないうちに、何もない場所でつまずき、ばったんと見事に転んでしまうルシカであった。
王宮の東区域にある独立した建物――図書館棟は、今日も早朝から戦場さながらの忙しさであった。
「ルシカ様」
「おはようございます、ルシカ様」
次々と運び込まれてくる箱のリストをチェックしている女性や、重そうな書物を運んでいる男性が、扉を開けたルシカに気づいて一斉に挨拶を送ってきた。
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