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特別な日 13
素早くホールを見回したルーファスはすぐにルシカを見つけ、凄まじい勢いで詰め寄ってきた。思わず逃げ腰になってしまうのは、クルーガーの条件反射がうつったからだろうか。
「ルシカ殿っ。王子を――クルーガーさまとテロンさまをご存知ありませんかっ?」
「えっ! い、いえ、知りませんけど」
「剣も荷もありませんので、もしかしたらまた懲りずに王宮を抜け出したのではないかと疑っておるところなのです。本当にご存知ないのですかッ!?」
ルーファスの気迫にたじたじとなりながらも、訊かれた言葉にルシカは動揺した。
「ほ、本当に知りません。それにまさか、黙って行ってしまうなんて……」
冒険に行くときには必ず誘うよ――それは三人で交わした約束であったはずだ。不安の面持ちになったルシカは目じりを下げ、きゅっと唇を噛みしめた。
その仕草に気づき、ルシカが何も知らないことを理解したのであろう――ルーファスはそれ以上追求する事なく、「ご存知ないのならば」と言って深々と頭を垂れてから図書館棟を出て行った。
ルシカは自分の細い腕を見た。ゆるゆると首を振り、そっとつぶやく。
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