特別な日 14

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特別な日 14

「それとも、あたしがずっと忙しかったからかな……。それにしたって、ひと言くらい教えてくれても」  ため息をついたとき、文官のひとりが言った。 「ルシカさま、そろそろ謁見の時間になります。王のもとへお急ぎください」  宮廷魔導士として、ルシカは王へ助言する立場も仰せつかっているのだ。昼食と休憩もそこそこに、ルシカは『万色の杖』を携えて謁見の間に向かった。  とはいっても平和な世において通常の謁見で意見することはほとんどなく、その時間はいつも得てして退屈な時間であった。訪ねてきたのは、友好的な近隣国から新しい貿易品についての決定事項を報告に来た使者であった。ルシカの出番はなさそうだ。  連日の激務や寝不足のこともあり、うつらうつらと眠り込むことだけは避けないとと気を張りすぎ、ルシカはそちらのほうに疲れを感じずにはいられなかった。 「あぅ……早く終わらないかなぁ」  片隅に控えて立ち、押し寄せる睡魔に抗いながら時間が過ぎ去ることだけを待っていたルシカは、ふと、その場の雰囲気が変わったのに気づいた。  杖を握り直して瞳をあげると、開け放たれた入り口から兵がひとり駆け走ってきたところだった。 「何事だ」  ファーダルス王がよく通る声を響かせた。
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