特別な日 16

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特別な日 16

 全力で駆け走りながらルシカは問いに答え、息を継いだ。言葉を続ける。 「魔獣に対してはこの王宮の守りが働きますが、本来幻精界にあるものにつきましては、何故か守りの力が働かないのです。それでも警告の結界がありますから、門や壁越えからとは考えにくいです」 「守りの力が働かぬ理由か……。もしかしたらこの王宮の魔法が、幻精界を故郷とするものに構築されたものであるやも知れぬぞ」 「まさか」  ソバッカと会話をするうち、焦る気持ちと全力疾走ゆえに呼吸と鼓動が早くなってきた。こめかみがずきずきする。そろそろ会話を続けるのが難しくなっている。早く、早く、早く――。ふたりの身に何かあったらと思うと眩暈がしたが、立ち止まるわけにはいかない。  西の棟の奥深き階段を上り、螺旋の(きざはし)を越え、大きな両開きの扉にようやくたどり着いた。ソバッカが剣を抜き放ち、扉を開け放つ――!
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