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特別な日 17
「テロン! クルーガー!」
ルシカは眼を見開き、ふたりを案じて声をあげた。広い『転移の間』は、すでに戦闘の場と化していた。
中央にある階段状の壇の上に描かれている魔法陣、そして五隅に設置されている宝珠。輝きを失った魔法陣の中央で剣を眼前に構えたクルーガーが立ち、少し離れた場所に腕を押さえたテロンが片膝をついている。そのテロンの背後にあった宝珠と柱は、粉々に砕かれていた。
「危険だ、来るな!」
扉が開け放たれたことに気づいたテロンが、緊迫した声をあげてルシカたちを止めようとした。
「あれは――『炎狼』……!」
ルシカは厳しい面持ちのまま、眼を狭めた。
ふたりが対峙しているのは、赤く揺らめく炎で全身を包み込んでいるかのような、馬ほどもある巨大な狼だ。しなやかな体躯――踏みしめた床の表面は変色もしていないが、クルーガーとテロンの衣服には焼け焦げた跡がある。
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