特別な日 29

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特別な日 29

「もーっ、おじいちゃんがそんな場所に設置するから、今回の事件が起こったんじゃない!」 「まァあれだ、まさか宝を手にした瞬間、幻獣が召喚されてくるとは思わなかったし、俺たちの足なら逃げ切れると思っていたんでな」  クルーガーがにこやかに言い放った。そして何かを思い出したかのように、あからさまな忍び笑いを洩らす。 「む! 兄貴ッ?」  たちまちテロンが反応して、上擦った声をあげる。 「あ、そうか」  思い当たったルシカが思わずポンと手を打ち合わせ、すぐにテロンを気遣って手を下ろした。 「あの谷には、テロンの苦手なミ……もいるのに。無理をしてまで、このプレゼントのためにがんばって……?」 「そうそう、でっかいのがいたんだよ。(ぬし)みたいなのが。そいつと遭遇しちまったとき、テロンは斜面のひとつを崩しちまったんだぜ。おかげで俺まで生き埋めになるところだった。力加減を考慮しないなんてよっぽど苦手なんだな」 「そ、それは言わない約束だっただろ!」
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