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特別な日 30
真っ赤になるテロンの表情を見て、ルシカは胸がいっぱいになった。
「ありがとう、ふたりとも! ――みんな、だ~いすきっ!!」
嬉しくて笑顔を弾けさせ、ルシカはテロンとクルーガーの首に跳びついた。ふたりの首にそれぞれの腕を絡めるような具合になったので、三人は固まりになって周囲に集まっていた者たちの輪の中で踊るようにくるくると回った。
この上もなく楽しそうな笑い声はそこに集ったひとびとの全員に広がり、あたたかな雰囲気が図書館棟の内部をいっぱいに満たした。改めて食事が運ばれて飲み物が振舞われ、世俗とは無縁である図書館棟のホールが、この夜だけは楽しそうな祝いのパーティ会場となったのであった。
喜びのために瞳を潤ませていたルシカがマルムの自信作であるピナアのタルトを受け取り、勧められるままもぐもぐと頬張る。甘酸っぱい味に感激したルシカは満面の笑顔になった。
「おいひぃれす。ありがとれふ、これもだいすきになりほふ」
「食べるか泣くか喋るか、どれかひとつにしろよ、ルシカ。――なァ、テロンもそう思うだろ」
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