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「神田(かんだ)さん、これ見てくださいよ!」
事務所に戻った俺に新人の隆盛(りゅうせい)がニコニコしながら走ってきた。
手には、なにやら封筒を持っている。
「なんだよ、そんな喜んで」
「ファンレター!初めてもらえたんです!」
「へー、やったじゃん。お前はこれからファンがたくさん増えてくだろうけど.......この嬉しかった気持ち、忘れんじゃねぇぞ」
「はい!返事、書いてきます!」
大事そうにファンレターの入った封筒を握りしめて、机に向かう。
「ファンレターか.......」
うちの事務所は声優プロダクション「ファイテール」
俺はそこの社長をしていて、社長兼所属声優というような感じだ。
普段は仕事があるので、社長補佐がスケジュール調整などをやっている。
独立してしばらくは俺だけが所属をしていたが、たまたまゲストで呼ぼれて行った専門学校で隆盛に目をつけて、うちに所属をしてもらった。
隆盛は、元から俺のファンだったらしく、喜んで所属してくれた。
新人だし、なかなか仕事もなくて、目立たないのにファンレターが来るなんて相当嬉しいんだろう、ニコニコしながら返事を書いている。
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