贈り物

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 ◆    ――クリスマスの数日前。  ぼくは、黒猫塚白猫。  ぼくは、学校の帰りにある男性に出会った。  その男の人は気怠(けだる)そうに煙草を咥えながら、一軒の家を見ていた。  そのたれ目の男性は成人しているかしてないかくらいの年齢だけど、煙草を吸っているのだから20歳前半なのだと思う。  見た感じ、特に超能力のような霊能力のような――特殊なものは一切感じられない。ごく普通の人間。  男性はぼくに気付き、声をかけてきた。 「えーと。なあ、少年――少年はいつもここを通るのかな?」  はい。そうですよ。とぼくは素直に答える。 「そうか。俺はここの家の子がちょっと気になっててね。情報を集めてるんだ。少年は何か知らないかな?」  いえ何も――とぼくは答えた。  どうかされたんですか。とぼくは男性に訊く。 「まあ、ね――」男性はある推理を聞かせてくれた。  その推理は突拍子もなくて、複雑で、妄想だらけで、ぼくには全部理解できなかったけれど――この家の子供が、近々人を殺そうとしていることが分かった。 「結局。この推理には遠距離で殺傷力のあるものがなければ成立しないんだけれどね。たとえば――拳銃のような」と、男性は補足する。 「まあ、なんとかするさ」    そう言うと、男性は煙草を携帯灰皿に押し込み、その場から去って行った。    消えるように、幻想のように、想像のように――まるで、妄想のように――
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