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夢
神山高校2年。夢宮亜夢
あたしは、もう3日寝ていない。昼休み、窓際の席の私は心地よい日差しに当てられ――うとうとと……夢の中へ……!?
「ッ!!!」あたしは自分の二の腕をねじ切るつもりで捻った。痛い痛い痛い。
もう嫌だ。嫌だよう。寝たい。もう楽になりたい。いっそ殺して。
そうまでしてあたしは――夢を見たくない。
◆
「大丈夫か?」
あたしに声を掛けてくれたのは、白髪の男子。同じクラスの――白猫くん。
黒猫塚白猫――不吉のようなそうでないようなよくわからない名前。
黒猫が目の前を通りすぎたと思うと次の瞬間、白猫が横切る。
まるでプラマイ0のような。
「眠そうだね――無理はよくないぜ。昼休みくらいゆっくりしたらどう?」
「ありがとう。でも、あたし夢を見るのが嫌なの」
「そう。でも顔色悪いぜ――ほら」
白猫くんから、差し出されたのは手鏡。
そこに映ったのは、あたしの顔。
目には色濃く隈があり、虚ろな表情をしていた。
虚ろな表情の虚ろな眼はぐぐぐっと瞳を上にあげる。
異様だった。
あたしは鏡を見ている。それなら瞳が上を向くなんてありえない。
それから今度は右へ、次に左へとゆっくり動いていき、最後に正面を向く。
鏡の中のあたしの左の眼球が震えだす。
震えながらも徐々に前へ前へと眼球は何かに押し出される様に進む。
その後、ごぽっという音を立て、左の眼球は外へ飛び出た。
同時に、眼球が収まっていたはずの場所から――蛆の集合体が球状になって、水中の泡が水面に顔を出した時の様な音を立てながら溢れだした。
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