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 ◆    「ひッ!!!」  あたしは机から顔をあげた。いつの間に寝てたの?   嫌だ。もう絶対寝ない。……どんな手を使っても。 「大丈夫か?」  白猫くんが声を掛けてくれた。 「昼休みくらい寝といた方がいいぜ?」 「だ、大丈夫だから。ちょっと顔洗ってくるね?」  そう言ってあたしは席を立つ。すると白猫くんは、あたしの腕を掴み。 「無理は良くないって」  と言う。  あたしの気持ちも知らないくせに!!! 「離して!」  あたしは腕をぶんと振り、教室のドアに手を掛ける。 「つれないなあ」  白猫くんの声が教室の窓際から聞こえる。  なんで? これはおかしい。  だって、あたしの腕は――まだ握られているのに。  あたしは振り返り、白猫くんを見る。……白猫くんの腕がない。  じゃあ、このあたしの腕を掴んでいるのは?   あたしの腕には――人の腕がだらりとぶら下がっていた。 「いやあ!!!」  あたしはその腕を引き離し、床に叩き付けた。 「痛いなあ。ちょっと酷いじゃないか」  白猫くんは、にちゃりと口角を吊り上げ、ゆっくりと歩を進める。 「そんないけない子は――喰っちゃうぜ?」  白猫くんは大きく口を開き、大きく大きく口が裂ける。  肉が裂ける音。ゆらりゆらりとソレは近づき――こう言った。 『あーん』  いやだいやだいやだいやだいやだ! 誰か誰か誰か誰か――たすけて。
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