贈り物

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贈り物

 あん? 何見てんだよ? お前は誰かって?   見て分かんだろ。サンタクロースだよ。    サンタは赤いコートに白い髭のおじいさんだって?   馬鹿言っちゃいけねえ。赤いコートなんてファンキーな格好、誰がするかよ。それになあ、プレゼントぎっしりな袋下げるなんて作業。若者の方が重宝されるに決まってんだろ。  スーツでびしっと決めて、スタイリッシュな黒コートを羽織る。営業行くなら常識でしょ。仕事かって? 当たり前だ。  誰がボランティアで、知らねえクソガキに自前でプレゼントしなきゃなんねえ? 給料はちゃんと、天界のお偉い様から、頂いてるよ。  神信仰のためだか何だか知んねえが――オレには関係ねえ。  公務員として、一定の給料もらえりゃそれでいいのさ。  それに、サンタの証拠が欲しいならほれ、ちゃんとトナカイが引いてるソリで空飛んでんだろ。――さあて、ラスト1つ。これを届けりゃオレの仕事は終わりだ。    ああん? オレの目標の家の前で誰かがこっちを見てやがる。  オレが見えるのか? 普通の人間には見えねえはずだが――たまにいるんだよな特殊な奴ってのは。  その、白髪の黒い学生服を着た――よくわからねえ少年は、オレに対して手招きをしてやがる。妙に気になる奴だ。  オレは一旦、その少年のもとに降りることにした。 「おい。ガキが真夜中に何やってんだよ? 他の担当のサンタが困んだろうがよ」  そうオレが注意すると、白髪の少年は――いえ。ぼくはお願い事はしていません。最近不景気ですから――と、ませた事を言いやがる。  まあ、いい。それはいい。だが、その後こいつなんて言いやがった? 『そのプレゼントは届けない方がいい』だあ? 何いってやがんだ。  これは俺の仕事だ――さっさと終わらせて一杯やるんだよ。オレは少年に対し言う。 「馬鹿言っちゃいけねえ。これはそこの家のガキが欲しがってるもんだ――サンタクロースとしちゃあ届けねえわけにはいかねえ」  それに対し白髪の少年は、せめて中身を教えてくれと言いだしやがった。「残念だが教えられねえな――個人情報だからよ」とは言ったものの。  実は、義務付けられているプレゼントリストの確認をサボっているだけだが。  こうして、オレは少年を無視し仕事を終え自分の家に帰宅した。  ――数日後  オレはサンタクロースの職を失っちまった。どうやら、最後に届けたプレゼントが問題だったらしい。  オレがプレゼントリストの確認を怠ったのが指摘され、責任をとる羽目になっちまった。  お偉いさんが言うには、最後にプレゼントを届けたガキが犯罪を犯しそうになり、今は少年院にいるそうだ。    くそったれ。あの、白髪の少年の言葉通りにしとけばよかったぜ。  それにしても――あのプレゼントの中身ってのはなんだったんだ?
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