一緒にいたい

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 もう、日が暮れ始めている。遠くに夕日が見える。いつの間にか時間は流れていて、別れの時が近い気がした。 「光太郎くん……?」 「なんか、ごめんな。俺……こういうの、初めてでさ……」  別れが怖くて、野々実の手を握りしめていた。その手はとても小さくて、やわらかくて。そして、温かかった。 「……痛く……ない?」  心配になって、野々実の顔を覗きこむ。野々実は頬を赤らめて、首を横に振った。 「……嬉しい」  消え入りそうなほど小さな声で、野々実が呟く。どうかこの言葉が、俺の聞き間違えでは、ありませんように。俺は信じた事もない、神様に祈った。  野々実を離したくなかった。  野々実と、話をしていたかった。はず、だったのに……。  家にたどり着くと、体は鉛のように重くなり、夢の終わりを告げる。 「野々実……俺は、まだ──」 「見つけて。光太郎くんだけの、わたしを」  薄れ行く意識の中で、野々実の声だけが響いた。その声は優しくて、どこか懐かしい……。
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