セフレとのひと時

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 佐奈は僕に顔を向け、口をもぐもぐさせながら、「何、ケイタ君、ぎゅういんばしょくって?」 「だから、よく飲みよく食べるって事です。」 「もう!ケイタ君ったら!さっきから私を親爺みたいに言って!ほっといてよ!」と米粒を飛ばしながら言う。  いや、牛や馬みたいに言ったんですと僕は言いたかったのだが、無論、そんな事は言えず、「いや、あのー、僕は別によく食べる事を非難してる訳ではないですよ。サナさんみたいによく食べよく運動して健康的に細さを保つ、これがベストなんですから。逆に良くないのは痩せれば良いと思って食べなくなって最悪、拒食症になって痩せすぎて失敗する事です。僕はそのパターンで激やせして魅力がガタ落ちした女性タレントを何人も知ってますが、まあ、その点、サナさんはその御様子なら大丈夫ですよ。」と訳知り顔で言うと食べながら聞いていた佐奈は僕に顔を向け、「なあに、ケイタ君、その言い方、如何にも私がよく食べる様なこと言って、からかってるの?さっきから喋り過ぎよ、ちょっと黙っててくれない、私、食べる事に集中したいから。」と敢えて落ち着き払った口調でそう言うと、お盆に向かってから、どう思われようが構うもんかと言わんばかりに時折、舌舐めずりしながら健啖家宜しく食欲旺盛に無作法にがつがつ食う。
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