素敵な子

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 結衣は取ってつけたように言ったかと思うと、立ち上がってカウンターの方へ慌ただしく歩いて行った。  秀一は結衣が席を離れている間、これは間違いなく誘われているのに違いないと思い、演奏を見るふりをして彼女のことを思った。  結衣はホッピーセットとフライドポテトが載ったトレーを両手ににこにこしながらやって来てトレーをテーブルに置くなり元の場所に腰を下ろした。 「ふふふ、私もフライドポテト、ねえ、おいしい?」  秀一は丁度フライドポテトを食べているところだったのだが、頗るアグレッシブにポジティブに迫って来る結衣にフライドポテト同様熱くてほくほくとしたものを感じ、手ごたえを得ると共に悪くないと思い、乗り気になって来て、「おいしい」と呟いた。
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