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雅が女の子をフォローしている間に調教は完了した。
現在は完璧にひびっ……懐いており、涙目になる程恐……恍惚としている。
『ぎょぇ…ぎゃ…ギャン……ぎん…わ、わん』
「おぉー。よく出来ました、ポチ」
MHに出てくるリオレイなんちゃらの様なモンスターが、レオの調教により従順なペットになった。まるで犬の様に。
「『七色』様、先日討伐したドラゴンのようなものもコレに似ていました」
「あー、そうなんだ。じゃあやっぱりこれはドラゴンなのかな」
「コレはどうしますか?肉にするならこちらでやっておきます」
『ぎょぇ!…わ、わんわん!…ぎゅるりょょょ』
この世界に来た時に討伐したモンスターと同じだと聞き、見た目的にもドラゴン説が色濃くなってきた。
一方のポチの方はと言うと、ビルの肉にするという言葉が聞こえあからさまに焦り始めた。そして何かを唱えたような吠え方をすると体が発光し始めた。
「ん?なんだろう。自爆かな?」
「体温上昇確認できず……身体の細胞が動いていますね…さらに体内の臓器の類や骨格などが一度液状になって再構築されています。これは……ひとがた?」
「おお、所謂人化と言うやつかな」
ビルがポケットから取り出した眼鏡をかけ、現在の進行状態を逐一報告する。
「£×%$☆○-%#¥¿?」
「おぉ、君は雌だったんだね。それにしても人間の言語は喋れないのかな?」
光が収まりリオレイなんちゃらの人型が晒された。それは銀髪で腰まである長い髪に、スレンダーな美女だった。服装は水色のワンピースを着ている。
「こ、ころさ…ない$…くさい」
「なんだ、喋れるの?」
覚えたての外国語を話しているような辿々しさと時々入る龍語?がなんとも可愛い。
さらに言えば相手はびびって引き腰だ。
「大丈夫!とって食ったりしないから!」
「食う!……ひっ!$$¥・=+€々<€×」
「あれ?誠実に対応したつもりなんだけど…」
龍態の時から言葉は分からずとも何となく言っていることは理解できていた。その結果「食う・殺す」などの単語に過剰に反応する。
「……。雅、次こっちもお願い」
「はぁーい、それじゃあこの子よろしくね?」
「イェス、マイマム!」
近寄りがたいほどの美女の雅だが、今は豊満な胸とほんわかとした雰囲気が相まって母性の塊のようになっている。
「それじゃあ君はお兄さんとお話ししようか。君は何歳だい?」
先ほどまでのとても美しい女性と違い、今度はとてもかっこいい男性。少女の頭はパンク寸前だ。
「わ、私はリュカと言います。17歳で王都に住んでます。ギルド階級は12段+です。武器は片手剣と円盾です。属性は水です。あと、あとスリーサイズは…」
「わかったわかった。いっぺんに話されても分からないし、一旦落ち着こう?王都なら僕たちもいく途中だったから一緒に行こうか」
過度な緊張から機関銃のような勢いで喋りだす少女改、リュカ。
続きは向かう途中にするとして一旦遮る。
「レオちゃん、洗の…調教…自己紹介は終わった?」
ニヤニヤとしながらわざと言葉を間違える雅の後ろには、何故か頬が染まっており少し着衣が乱れた人がいた。
「なんで二文字と四字を間違えるかな?…それより後ろで余韻に浸ってるエロい美女はどうしたの?」
「聞いちゃうんだぁー、もう、レオさんのえっちぃぃ!」
訳のわからないことをしている美男美女2人とそれを見守る美女2人、蚊帳の外の少女と美女。
絵になる光景だが、中身を知っている地球人の一握りからしたら、これから世界征服が起こってもおかしくないメンツである。
「『七色』様、そろそろ……」
「あぁ、そうだった…危うく茶番で夜になるところだったよ」
お天道様は頭上にあるが既に傾き始めている。このままくだらないことをしているといつまで経っても首都にはたどり着かないだろう。
秘書兼愛人兼準戦闘員兼ストッパーのビルが止めに入る。ユチはふわふわと微笑んでいるだけ……
「それじゃあ一旦車に戻ろうか…人数増えたしヴェルファイアに乗ってこう」
レオを筆頭に森を抜けるために歩き出した一行。
現在の時刻は13時30分ちょっと過ぎ…。
村を発ってから約二時間半で首都まで残り半分ほど。このまま何もなければ15時くらいには着く。
………何も無ければ。
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