『躾人』異世界へ行く

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ユチ(3)?車内汚さないでよ?」 「えぇ〜、汚すのはポチですよぉ〜『七色』様ぁ〜」  バックミラーを覗くとニヤニヤとしたユチ(3)と目が合う。 「……はいはい。ん?あれは外壁かな?」  木々を抜け青々とした草原が広がる。その向こうには十メートルはある高さの壁が見えた。 「このまま行っても平気かな?」 「多分大丈夫だと思いますが…」 「『七色』様、すでに手引きはしてあります。屋敷の方も準備してありますのでこのままで宜しいです」  ナンバーズの表の顔(代表)ビル(1)はレオにかけては一番であると自負している。 「あれぇ〜?ポチちゃんお漏らししたの?」 「うそっ!?だからやめろって言ったのに……ユチ(3)、お仕置きだからね」 「え゛」 「え…じゃないよ。ビル(1)、どんな罰がいいかな?」  ずっとビクンビクンしていたポチが快楽に耐えきれずに失禁した。さらに半開きの口からはみっともなく涎が垂れている。  それを見たユチ(3)はニヤニヤとしてポチに話しかける。しかしレオの矛先はユチ(3)に向かいお仕置きを受ける羽目になり、顔面蒼白になった。 「そうですねぇ……ハードSM調教プレイは如何ですか?」 「そうだね、それくらいが妥当かな?」  ハードSM調教プレイ、その単語を聞いたユチ(3)は失神してしまった。過去に一度だけ実行したことがあるお仕置きだが、その時の内容が地獄だった為に以降この単語を聞くと失神する。  内容はとてもじゃないが言い表すことはできない。 「あはは、本当にユチ(3)はこれに弱いね」  そんなこんなで街の門にたどり着いた。 「『七色』様お待ちしておりました。万事抜かりなく進んでおります。どうぞこちらへ」 「ご苦労様、スフル(0)」  門の前にはスフル(0)が直立不動で立っており、車に近寄ってきて扉を開けた。レオは順番待ちしている大衆の視線など気にも留めずに悠々と車を降りた。  みんなが降りると、どこからともなく双葉(28)がやってきて車をしまう。 「へぇ〜ここが首都かぁ〜、取り敢えず屋敷に案内して」 「御意」  はじめに着いた村とは違い、人や物が溢れる王都は活気に満ち溢れていた。  そんな中でも美男美女集団が歩いていれば目立つもの。ましてやその服装は異色。 そうなれば絡まれるのも当然であり、この場合は様々なテンプレが押し寄せてくるものだ。 「『七色』様、こちらの物価は日本とあまり変わらないですね。通貨の単位はGOLDとなってますが、これも円と同じです」 「へぇ〜、楽で良いね……おっと、すいません」  スフル(0)とレオが前を歩きその後ろを女性陣が追っている構図の時にそれは起こった。  向こう側から歩いてくるゴロツキ達の目が女性陣に向いていた。その視線は粘っこい嫌なものであった。  そしてレオとスフル(0)を見たゴロツキは線の細さから「雑魚」と判断してぶつかってきた。 「いっ!!?いってぇ〜、いてぇよぉ〜」 「おい!大丈夫か、サン!てめぇ!」 「あーあ、これは折れたやつだよ。俺ら冒険者やってるから、折れてるか折れてないかはわかるんだわ…これは折れてるやつ、どう落とし前つけてくれんだ?」  軽くぶつかっただけで大袈裟に転び大声をあげるサンとやら。演技力ほぼゼロの演技で熱演する2人。 「いやぁ、ぶつかったことに関しては謝ったじゃないですか。折れたと言うのであれば慰謝料は払いますよ、幾らですか?」 「医者料?ぁんだそりゃあ!?わけのわかんねぇこと言って俺らを騙そうったってそうはいかねぇ!」 「じゃあ、どうすれば良いですか?」  もちろんこの世界にも慰謝料という言葉は存在している。ただ、このゴロツキ達はギルド階級3段+。民間人を小指で刺殺せるほどの強さを持っている。  その為、遠巻きに見ているものは大勢いるが助けに入るものは誰1人としていない。 「そぉだなぁ〜、おぉ?おおぉ?良い女がいるじゃねぇか。こいつらを置いていけば許してやらんこともない、なぁサン」 「あぁ、特別に、と・く・べ・つ・に許してやるよ、なぁプル」 「うぅ〜ん、どうしたもんかなぁ〜」  ニタニタと笑いながら女性陣を指差す。すぐに差し出すと思っていたのか、レオが思案しているうちに表情が険しくなっていく。 「おい、このまま時間を潰せば騎士団が助けに来てくれると思ったら大間違いだぞ?ここの管轄の奴らはみんな抱きこんでるからな」 「正当防衛とやらで貴様をいためつけてもいいんだぜ!?」  自分たちに良いようにしか解釈していない言葉など言葉として成立しない。  しかし、ゴロツキのぷっつんは早いようで、早くもレオに掴みかかった。 「あぁ、我慢ならねぇ!おらっ!」 「…うぐっ!」 「おぉ!おれもやるぜ!しゃらぁ!」 「…ぐふっ!」  ついには胸ぐらを掴んだまま殴り始めた。スフル(0)はいつの間にかいなくなっており、ビル(1)ユチ(3)は無表情。ポチとリュカはぽかんとしており雅は笑っている。  十分ほど殴られ続け意識がないレオ。その顔は原型をとどめておらず下手したら脳に損傷が起こり死んでいる可能性も……。 「はぁ、はぁ、舐めんなゴミ」 「はぁ、はぁ、死ね雑魚」  そんな状態のレオをほっぽり女性陣に振り返る。 「ひひひ、それじゃ行こうか」 「俺たちがたっぷり遊んでやるからなぁ」 「わかったわ。けどその前に1つ言っておくことがあるの…あなた達のナニ(・・)で遊んでくれるの?」 「は?ナニってそりゃあ……」 「ナニしかないだろうよ……」  雅が一歩前に出て2人と言葉を交わす。連れて行かれる前に1つ雅が指さした所はゴロツキ達の生殖器……が本来ならある位置。  しかしそこは履いていた物事喰いちぎられたような跡があり、血が滲んでいる状態だった。 「そればっちぃからぺっしなさい!ぺっ!」  少し離れたところから聞こえたレオの声に男達はそっちを見る。  そこには殴られた跡など何1つないレオが狼と戯れていた。 「……そんな、あいつは確実に殺した筈」 「お、おい!それよりもあの犬っころが吐いたもの……あ、あれって」  口の周りを赤い何かで染めた狼がレオに促され、もぐもぐしていた口からナニかを吐き出した。 「な、なん…で……」 「だ、だれかたすけ……」  狼の口から出てきたナニかは男達のナニかだった。それを確認した男達はショックのあまり命を落とした。
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