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エントリーナンバー一番、子犬くんを連れてきた双葉。
「彼に受けてもらうのはこちら!ででん!鉄の処女です!痛そうですねぇ〜。では早速参りましょう!ギルティ!」
ジルは言葉に抑揚をつけ場を盛り上げていく。初めに登場したのはアイアンメイデン。又の名を鉄の処女。使われた記録のない器具として有名な物だ。
双葉はジルのギルティ!の声に呼応して子犬くんを中に入れる。全身に針が刺さり雄叫びを上げる子犬くん。
「よし、次に行ってみよう!」
最後まで確認することなく次に行く。たとえ死ななくとも恐怖で精神が崩壊するためである。
「次の被験者は小鼠くんです!この小鼠くんが受けるのは〜?……なんと、鼠ちゃん達を使います!」
次の被験者を双葉が裸にして、仰向けで鉄板に縛り付ける。その腹に蜂蜜を塗りたくる。
そしてその上にスラム街産のネズミを、逃げられないように透明なプラスチックのケースで覆う。
すると空腹のネズミは蜂蜜をかじろうとする。さらに肌の温度で温まってきたことに混乱し、腹を食い破って逃げようとする。
結果臓器を食われ、腹は貫通し、さまざまな細菌が入る事により死ぬ。
「さて、次に行ってみよう〜!」
またしても結果を見ずに次に行くジル。
「おつぎの挑戦者は……仔牛君です!」
中世の時代において公開処刑は娯楽となっていた。ましてやここは裏の街…誰もが平然と見ていた。
「君が受けるのはなんと!ファラリスの雄牛!それがこちら!じゃじゃん!」
成人男性1人が入るのがやっとの大きさの牛の像がそこにはあった。
「それでは、ギルティ!」
例に漏れず双葉によって中に押し込まれる仔牛くん。扉を閉めて錠をかける。そして牛の腹の下で火を焚く。
「次!」
その後も公開処刑が続いていく。段々と観衆のボルテージも上がっていき、今や死ぬか生きるかの賭けまで始まっている。
「さて、今宵の催しも残り1人!どうやって締めにしましょうか……おっと?こんな所に打ち上げ花火が!…ということで彼には花火になって頂きましょう!」
残すところの1人は花形、という扱いになり双葉に運ばれてくる。そんな彼の最期は打ち上げ花火と一緒らしい。
改良型打ち上げ花火をダイナマイトのように体に巻きつける。さらにこれまた改良型の小型花火玉を飲ませる。
「それでは準備が整いましたので着火します!」
1つにまとめられた打ち上げ花火の導火線に火をつける。そして、口から出ている花火玉の導火線にもつける。
数秒後、数多の光の尾を残して上に上がっていく男。
「たぁ〜まや〜!」
一斉に開花し色とりどりの華が夜空を彩る。
散りゆく花弁達の真ん中で赤く質量のある花火が開花した。
「きたねぇ花火だ」
「はい、という訳で今回の催しは終了いたしました!パチパチパチ〜。それじゃ、またどこかで!」
大勢の観衆の大喝采に身を包み去っていくジル。もはや裏の街で彼を知らぬ者はいないだろう。
因みに処刑の末に生き残ったものはおらず、その様はまさに地獄のようであった。
そこからついた二つ名は『堕天使の再来』、『Scharfrichter(処刑人)』、『見せ物屋』など様々な呼ばれ方をした。
ジルがそれを知るのはもう少し後のこと……。
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