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「あと少しでレオのレオを食べられる」
「あはは、一昨日もたべられたんだけど…」
「昨日はやってないじゃない…」
「まぁ、そうだけど……ん?なんだこの光」
信号まであと数十メートル。家まではあと少し。そんな中車内では異常が発生していた。
「敵?」
「いや、そんなことはないよ、“339”がサーチしてるから付けてるものは居ない」
「じゃあこれは何?」
「わからな……」
光がより一層輝く。
光が消えた時には地球からレオと雅、SUVとレオのペット達が消えた。
レオのペット達。レオはペットと呼んでるが実態は『身体改造を施された化け物』だ。
振られている番号はただの語呂合わせだが、番号が若いほどペット内の位が高い。
1は完璧な秘書、2は透明人間、3は妖女、117は男性特化型などそれぞれに役割が固定されている。
そしてペットたちは話せるものもいれば話せないものもいる。
ただ『躾人』の言うことは絶対である。白い物も『躾人』が黒と言えば黒いものにする。死んでいる者も「生きている」と言えば生き返らせる。
『躾人』とは常識が通用しないある意味でクリーチャーの代名詞なのだ。
そしてそんな彼のパートナーの『雅』も只者では無い。
世界中の男を虜にしているその女は『拷問官』『正体不明』『傀儡の傀儡師』など様々な呼び名があるが一般的なのは『妲己』だ。
彼女は人を操る術に長けている。世界各国の首脳やお偉いさんたちは基本的に雅の傀儡となっている。
そんな2人が…いや、そんな2人とレオのペット達がこの世界から消え、しばらくの間様々な機関が混乱するのであった。
「……ここはどこだ」
「ねぇ、レオの傀儡もみんないるわよ」
「ん?あらま、ほんとだ」
レオたちがいるのはだだっ広い草原。
「全くもってわからない」
「これって異世界転移ってやつじゃ無いの!?」
雅が興奮して声を大きくする。
「……ごめん待って雅ちゃん、追いつかないわ…えっと?ここはどこ、私はタクト、じゃなくてリュウガ、でもなくてシーシェン、でもない…あぁヒップホップヨガだ!」
「違うわよ!今はレオでしょ!」
「あぁ、そうだった。思った以上に衝撃的だったから取り乱しちゃった…異世界かー、うん、楽しそうじゃん」
取り敢えず車を降りてあたりを見回す。広がるのは草原…ではなく、ペット達だ。
「お疲れ様です『七色』様。勝手ながら41番・339番・439番・834番に周辺偵察をさせたところ地球の生物とは思えないものを発見いたしました。文献によく出て来る『ドラゴン』に酷似していたとか…」
41・339・439・834はそれぞれ威力偵察に特化した者で41と834は夜・暗いところなどに特化、339は索敵能力特化、439は飛行型ユニットだ。
「おぉ、ファンタジーの定番!」
「重ねて勝手ながら133を当てて討伐しました。29によって食べれることが判明いたしましたので333が体内保管しております」
「うん、ありがとうビル。……という訳なんだがどうしよっか?」
「私達にサバイバルなんて言葉は無いのだから楽しまなきゃ!」
基本的にレオのペット達はその数もあり出来ないことは無い。ぶっちゃけて言うと魔法を使える個体もいる。
そのためサバイバルとはこの二人にとっては辞書に載ってない言葉である。
「『七色』さまぁ〜、あっちのほうこうにぃ〜、それなりの数の精がかたまっていますよぉ〜」
「じゃああっちに集落があるのかな?いってみるとするか」
今話しかけたのは3だ。甘ったるい声は聴くだけで脳が蕩けそうになるほどである。
「僕たちはSUVに乗っていくから、僕と雅、ビル・ユチの4人以外は14さんに乗せてもらってね」
14さんの特技は造船技術に特化している。素材は何でも良く空気でも船を造ってしまう。完全武装船で装甲はダイヤモンドの約3倍ほど。さらには何処でも滑ることが出来るため、海は勿論、砂漠・マグマ・氷・土・沼・雲、果ては空気だろうとお構いなし。
大型輸送を行わせると右に出るものはいない。
人と同じ容姿をしていて齢70位のおじいちゃんだが身体改造の末生ける化石である。
何故かって?
そりゃあ週一でおばあちゃ……お嬢さん方を腹上死させてるのだもの。元気一杯さ。
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