家族の在り方

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「偉いねえ、お姉ちゃんが夕ご飯の買い物?」  おばさんが赤い頬っぺたを緩ませる。 「はい、お母さんが買い忘れちゃったらしくて」 「売り残ってしまった茄子があるから、ショウガで焼いて食べるといいよ。ご褒美にサービスしよう」 「え、すみません」  わたしはペコリと頭を下げて自転車の籠に買ったものを入れた。商店街に吹き込んでくる風がビュウっと頬を撫でた。  家に帰り、お母さんに買い物袋を渡す。ちゃっかり買って来たアイスを冷凍庫に入れておく。食後のデザートだ。 「あっ、お姉ちゃん、ズルい」  弟はそう言うが、わたしは内緒で参考書を買って貰っていることを知ったばかりだ。アイスくらいで文句を言われる筋合いはない。 「ユリナは痩せてるからいいですよ。わたしなんて太ってばかり。アイスなんか食べれません。それこそショウガ焼きにされちゃう」  お母さんが笑いを含みながら言う。自虐ネタかな。でも笑ったら可哀想だ。 「ハルオもどちらかと言えば痩せてるよね」  わたしは弟の肩に手を乗せた。 「そうかなあ、これでもバスケット部で鍛えてるんだぜ」  弟は片手にギュっと力を入れる。腕の筋肉が盛り上がった。いきなり所作だったのでドキドキしてしまう。弟に男性を意識してしまうのは有り得る話なのだろうか。お母さんがふざけて「わたしもバスケット部に入ってみましょうか」と言った。わたし以外のみんなは笑顔になった。
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