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この小さな銀行はナミダ探偵会社から近い訳でもなく、歩いて二十分自転車ならば十分で到着する距離の為、遠いとは言えないが、この地方で一番大きな銀行や会社の目の前にある銀行でも無く、微妙に遠い銀行をチョイスした理由は分からなかった。
社長南海雫伊助(なみだいすけ)から、振り込んでくるようにと渡された百万円入った封筒をリュックの一番奥に閉まった僕は、指定されたこの銀行へ向かったのだ。
歩きながらどうしてココなのかと考えながらも、思い当たる理由は無い。そもそも南海雫伊助の事など何も知らないのだから、考えた所でヒントが少なすぎる。予測としては偶々ソコに在ったからとか精々その程度の理由ではないかと考えを纏めた。
実際田舎から出てきた僕は、駅を降りて直ぐに在ったからと言う理由で銀行を選んだし大きな理由は無いのだろう。
さて置き。僕は大金の入ったリュックを抱きながら番号が呼ばれるのを待っている。給料日の次の日の為だろうか、昼間にしては利用者が多く、現在自分の他にも十人の人間が席に座り待っている。番号札は百五十番。
現在がまた百四十五番なので暫く掛かるだろうとスマートフォンのアプリを開き時間を潰していた。大金所持の為、アプリに集中など出来る訳も無いのだが。
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