抜毛症と不登校

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 7月始まり頃、ふと夫が「りんちゃんの髪の毛、なんだか少なくない?」と言い出し始めました。  私はそう言われてみたのですが、そこまで気にならず「こんなものじゃないかなぁ?」などと返事をした記憶があります。  昨年度りこちゃんが脱毛してしまって髪の毛が抜けてスカスカになった苦い思い出があるので、りんちゃんにも同じことが起きているんじゃないのか? と夫が危惧していることがすぐにわかり、私は「毛量全体」を見てそう答えたのです。  ところがそこから2週間も経たずして、担任の先生からお電話がありました。  「昨年のことを彷彿させて申し訳ないのですが……」と妙な前置き。  昨年度りこちゃんの担任であり、今年度はりんちゃんの担任の先生が、妙な言い回しをします。  なんだ? と思いながら続きを聞くと  「りんちゃんが髪の毛を抜いて頭が禿げてしまったので、今日は赤白帽を被せて帰らせます」と。  ……髪の毛がなくなって禿げたってなんだ?  言われた意味が分からなくて、私は理解ができませんでした。  だって、朝までは確かに普通の状態で家を出たのですから。  禿げてって何のこと? でした。  先生、何か大げさに言ってるのか?  まぁとにかく帰ってみないことには分からない。  抜毛について知識が乏しく、名前程度しか知らない私が持った、最初の感想は、本当に何のこと? でした。    そしてこれこそが今回のテーマであり、現在も治療途中の抜毛症の始まりでした。  
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