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それでもりんちゃんは
「痛くなかったよ。抜いた毛の根元が気になったんだよ」
と言います。
どうやら抜いて毛根を見るのが楽しかったんだと、そういうことを言うのです。
最初はその意味が分からなかったのですが、とにかくこれ以上ひどくなってはいけないので
「毛根が気になるのは分かったけど、それを抜いて見るのはやめようね」
と言って、りんちゃんにも理解を得て納得してもらいました。
このときには、まだ理由がよくわからないことと、りんちゃんが『毛根を見たいから抜いた』という言葉を信じていたのです。
たった1日にして、魔法のように頭頂部の髪の毛がなくなった翌朝。
頭頂部をうまく隠して包むようにゴムで括り、学校へ登校させました。
しかし、その日もまた担任の先生から電話がかかってきました。
「今日も授業中に抜き始めてしまったので……」と。
目立たないように隠したのに、ダメだったのかな。
そう思いながら帰宅すると、昨晩よりもさらに拡大した円形に、また胸が痛みます。
「どうしても、気になっちゃって」
そう言うので、
「じゃあ明日は全部髪の毛括って、抜きにくくしておこうか」
と提案すると、それなら大丈夫かもというので、今度は全部の毛を括って学校へ行かせました。
しかし……その翌日も、りんちゃんは髪の毛を抜いて、椅子の周りを髪の毛だらけにして帰ってきたのです。
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