抜毛症と不登校

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 もちろん、大いに理由のひとつではあるようですが……協会の方には、一時的なものが原因ではないと言われています。  ただ、私の思う引き金は以下のとおりです。  今まで日常生活を送っていたのに、ある日から突然ずーっと学校休みだよと言われて、ダラダラっとした日常がある日突然舞い込んできた。  それが3月から5月まで3か月も与えられて楽しんでいたところ、急に学校へ行くことになったと思ったら、今度は早回しな詰め込み授業が待っていた。  楽しみとなるはずの体育会、音楽会などの行事は中止。  遠足や参観、縦割活動もなし。  息抜き教科は一気に国語と算数に塗り替えられ、先生は急ぎ足の授業をひたすら続ける。  誰もに、余裕がなかったと思います。  学校も、先生も、生徒も、友達も。そして家族にも。  かくいう私にも、全く余裕がありませんでした。  コロナの影響により、出勤体制に大きな変更があり、出社日は概ね夜10時まで残業するのが当たり前の生活でした。  それが4月から6月まで続き、7月には異動することになってまたてんやわんやの毎日。  目まぐるしくて、自分の生活を回すのが本当に精一杯でした。    それらが、りんちゃんには耐えがたいほど苦痛だったのだと思います。  苦痛がだんだんいらだちに代わり、いつしかそれが抜毛行動へつながった。  それが私の考えている、りんちゃんの抜毛行為へと繋がった経緯だと考えています。  
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