抜毛症と不登校

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 うちの子とは無関係ではありますが、前ページの会社の方のことについてもう少しだけ。  その方のことは、上司に報告した上で、現在は適材適所な対応をいただいています。  仕事に向き合う姿勢、時間の管理の仕方、書類をなくさない方法。仕事のことだけでなく、子育てのことや普段の家事のルーティンなど、私の持っている知識を伝えられるだけ伝えて、改善できるよう頑張れと精一杯声援を送りました。送り続けていました。  ご本人が、仕事は好きだから、頑張りたいって。そういうので、私も応援したいと思っていました。  けれど、私には最後まで支えてあげられるだけの余力が公私ともにありませんでした。そのことについて、本当に申し訳なく思っています。  私がペアでなくなると知った日、本当に悲しまれ、とても胸の痛い思いをしました。  本音を言うと、私はどこかで、同じADHDを持つわが子を重ねていたように思います。  どうにかしてあげられないだろうか……子供と重ねて見ていたからこそ、傲慢な想いが、この人と仕事をするのは無理だと音を上げるのを躊躇していました。    その結果、家族に多大なしわ寄せをかけてしまって、私は馬鹿なことをしたと今は思っています。もっと早くに決断し、頼むから早く変えてくれと騒げば良かったのではないかと、当時の家族のことを考えると今ではそう感じています。  また、この件を踏まえて思うことは、人間には向き不向きがあり、不向きな仕事につくことくらい苦痛なことはないということが、よくわかりました。  この方に対しては今でも思うのですが、幼少期に十分な配慮をしてもらって、酷ければ投薬治療の手段を得ていれば、今こんなに辛い目にあっていないと思うのです。  
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