抜毛症と不登校

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 本当に髪の毛がなくなっていく毎日は、恐怖でした。  この子の髪の毛が将来生えてこなかったらどうしよう。  そう思うと、何がなんでも次に生えてきた髪の毛を抜かせるわけにはいかない。    その想いは誰の心にも共通していましたが、日々日々葛藤です。  もちろん、その葛藤は今も続いていますが……  不登校になり始めた最初のころは、週に1度だけでも登校できるよう頑張ろうと言っていました。  それは、りんちゃんにとっても共通の気持ちだったので、どうにか週1だけでも頑張ってみました。    それこそモノで釣ったこともありました。学校に頑張って行けたら、○○買ってあげる、みたいな。  でも、それも意味はありませんでした。  無理やり学校に行かせても、苦痛だから意味がないのです。  気持ちが追い付いてないのに、目先の餌のために行っても何の効果も生みません。  どうしよう、このままじゃ本当に学校へいけない子になってしまう。  その不安とのせめぎあいでした。  その中には、これまであまり触れてきませんでしたが、夫との衝突もたくさんありました。    私たちがけんかをしても意味がない。  そう分かっているから気を付けているのに、お互い出口が見えないから、知らず知らず相手のせいにしてしまうような発言が出てしまう。  そのたびに、私のせいか? 俺のせいか? となってしまう。  りんちゃんの髪の毛が失われることも辛いことでしたが、そのことで夫とけんかになってしまうことも辛かったです。  協会の方にもかなり言われていました。  これからたくさん衝突することになるし、辛い思いをしますよって。  本当にそのとおりでした。  
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