抜毛症と不登校

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 しかし、納得できるわけがありません。  りこちゃんにしてみれば、りんちゃんが学校を休むことは「ズル」でしかなくて、羨ましいことなわけです。  当初、休み休みの登校でも不満だったのに、それが週一登校でもいいよと緩まった矢先、一日も学校に行かない……という変遷をたどっているのを見て、「なんでりんちゃんだけいいの!?」状態が爆発していました。  私たちとしても、昨年、りこちゃん髪の毛抜け落ち事件がまだ尾を引いているので、これがストレスになって、彼女の髪の毛まで抜けてしまっては困ります。  何より、りこちゃんが「真似をして」髪の毛を抜く行動を始めたらどうしようかと悩みました。  髪の毛を抜いて禿げたら、私も休んでいいって言われるかもしれない。  そんな思考に切り替わらないとは言い切れません。  ですので、りんちゃんのフォローもさることながら、りこちゃんにうまく納得してもらい、理解を得ることこそがとても重要なことでもありました。  何せ、朝起きてりんちゃんが学校へ行く準備をしないことも、ズルい。  少しばかり、寝ることが遅いこともズルい。  宿題しなくていいこともズルい。  りこちゃんにしてみれば、何もかもがズルいわけです。  これを理解してもらうだなんて、うまくいくのだろうか。  本当に頭を悩ませました。
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