先生は真実を語らない

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 しかし、意に反して……と言うと語弊がありますが。  先生からこれといった指摘が出てこない。  宿題やってない件について  「僕としては、夏休みまでにできてくれたらいいなって思ってます」  友達について  「特定の……はないかもしれませんが、誰とも仲良くしています」  勉強面について  「できてないことはありません。十分力のある子だと思ってます」  なるほど、そうなのか。  正直言うと拍子抜けでした。  夫も、あれそうなの? みたいな感じで。  ただ、問答していると、なんだか塾の先生っぽい感じがして不思議でした。  それから私と夫の間では、担任は塾の先生と呼んでいるのですが……  この時の懇談のやり取りが後に、全然違っていたことを知ることになるのは、もう少し先のことになります。  が、このときは先生は真実そう思って話をしてくれているんだと、信じていました。  何せこっちは両親揃って懇談に臨んでいるわけですから、それなりに本気で来てるとわかると思うのです。  適当な気持ちで2人では行かないでしょう?  ですから、まさか本心を言ってくれていないとは、露とも思いませんでした。
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