先生は真実を語らない

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 さすがに1年生のりこちゃんが、2年の壁を越えてくるほど出来がいいとは思えません。  となれば、どちらに注目すべきか……考えると、自ずとりんちゃんに思うところが出てきます。  正直に、私にとって、りこちゃんは性格が合わないのかもしれないと不安には思っていましたが、一番手のかからない子だと思っていました。  いや、思い込んでいました。  一人遊びができて、自分でやりたいことが見つかれば、それだけは熱心になん時間でも没頭できる。    ひらがなを入学前に独学で勉強していたところも、りんちゃんはお勉強好きに違いないと思う要因でした。  だから、今更勉強が嫌になってきているとも思っていませんでした。  昨年度は、新任の先生が担任だったから、あんまり理解が及ばなかったんだと、そう思っていました。    ママ、とやってきても、べったりしない。  遊んで遊んでと言ってこない。  一緒に寝てほしいとも、小さい時から言いません。  妹のりこちゃんとなん時間でも楽しく遊んでくれる、いいお姉ちゃん。  ただ、一人で外に出すのはどうしてもなぜか不安で、公園に一人遊びに行かせたことはありませんでした。  その、どうしてもなぜか不安――の部分をもっと考えれば良かったのかなと、今では反省です。    
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