いらっしゃいませ。

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「文芸社?」  一瞬、意味が分からず。 「ええ、潜水艦さんは弊社のNEO小説大賞に『オールド・メイド・ゲーム』を応募されてましたよね?」 「そうですが。まぁ……落選しましたけど(_ _;)」 「そうなんですが……実は今回の募集には実に多くの作品が寄せられたのですが、審査員の1名から潜水艦さんの作品が高い評価を受けておりまして。私どもとしても、受賞作以外にも何か出版出来る作品は無いかと探しておりまして眼をつけた次第なんです。……如何でしょうか?」 「まじっすか!(><;)」 「はい。ただし、条件が付きます。何しろ、受賞作ではないので。これから社内の企画部内で『これを商業ベースで売ってもいいか』の打ち合わせをして、その結果で条件を煮詰めるのですが、その前に意思確認をと思いまして電話しました」 「い……いちどその『条件』を伺いましてから判断したいと思いますが、出来たらやりたいとは思います(><;)))))」 「了解しました。では、のちほど」  ……てな事がありまして、後日「企画部内でGOが出た」という事で『書類一式』が届きまして。  正直な話。決して『いい条件』ではありません。  あまり夢のない話をするのもアレなんで内容は控えますが、けっこうかなり厳しい条件です。まあ、出版業界自体が決して好景気という訳でもないですから、仕方ないと言えばそうですが。  単純に「本を出したい」とだけ思うのなら、自費出版を請け負ってくれる出版社に持ち込むという手もあります。  文芸社で言うと、あの「A型自分の説明書」シリーズが、そのパターンだそうです。これは最初、富山の本屋1店舗だけで売っていた所から火がついてベストセラーになったそうです。    実は、こうした自費出版ものには裏話がありまして。  せっかく製本されても、これが実店舗の店頭に並ぶ事は「ほとんどない」のだとか。  何故かと言うと、中間に入る卸問屋が「受け付けてくれない」からです。  実店舗は棚が限られることから、そもそも売れる見込みが薄い本を置く事は難しいのです。そこで、有名作家の作だとか、前作が好評だったとか、ネットで評判だとかとの『ハク』が無い作品を卸屋さんが受付ないんですね。    今回の場合、条件的には確かに厳しいんですが、文芸社が卸問屋を介さずに直接に全国150店舗に配本してくれる事と、新聞その他メディアに広告を出してくれるというメリットがあります。  これが、大きいんですよね。    散々悩みはしたんです。まる1日ほど。  で、結局「やらなかった後悔よりやった後悔」だろうと。  どうせ人生にそう何度もあるモンじゃなし。せっかく向こうから声を掛けてもらったのなら、ノリでやるのもアリかなと。  そして、文芸社に「やります」とご返事を致した次第です。  他社の事情は知りませんが、文芸社の場合はチャンと契約書を作成してから次のステップに掛かります。  本来ならこの時点で「書籍化決定」でアナウンスしても良かったのですが、とある方の「つぶやき」に「書籍化が流れた!」とあったのを見て「そんな事があるのか!」とビックリしたので、確定するまで控えておりました。    《まだ続きます》(><;)
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