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魚達の泡吐き(プロローグ)
深い深い海の底。
魚人の国がありました。
話せなくなった人魚姫。呪いを説くにはどうすれば、と物語を引き合いに魚人達は語らいます。
真実の愛こそ全て、も申す者。
裏切りの王子に刃を、と申す者。
いやそもそも荒唐無稽な世迷いごとだと、憮然としながら熱弁振るう者もおりました。
そんな中『お前はどうだ』と問いかけられた一人の青年。泡を指先で啄いて答えます。
『こうすればよろしい』
―――そうして、隣の者の頬に口付けひとつ。
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