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その3
「おめでとうございます兄貴! ついに……ついに食べられたんスね」
「もう、何を泣いてるのよ、こっちまで泣けてきちゃうじゃないの」
「だって姉御……あれだけ子供に嫌われてたピーマンの兄貴が、嫌な顔をされずに食べてもらえたんスよ……オイラもう、嬉しくて嬉しくて仕方ないっスよ」
「そうね……あいつも散々苦労してきたから、今頃は人間のお嬢ちゃんの細胞に向かって、笑いながら栄養を届けてるんじゃないかしら……でも、あいつの事を喜んでたり羨ましがってるだけじゃ駄目よ、今度は私達の番なんだから!」
「わかってるっス、今度はオイラが美味しく食べてもらう番っス!」
「さぁ行くわよ!」
……。
……。
「お嬢ちゃん、私はセロリ、宜しくね……シャキシャキの歯応えと、お鼻に抜ける香りが癖になるって評判なのよ」
「オッス! オイラは椎茸っス! 焼くとクニュクニュとした歯触りで食べやすくなるっスよ」
「ハ~イ! ミ~はゴーヤで~す、ちょっぴり苦いけどヨロシクおねがいシマ~ス」
「え?……苦いとか言っちゃ駄目っスよ? ってか、なんであんたは片言なんスか?」
「そんなの決まってマ~ス! ミ~はアメリカの中にある沖縄生まれだからデ~ス」
「……沖縄がアメリカって、あんた収穫されたのいつなんスか? やばいっスよそれ……」
「……」
「まぁいいじゃないの! 新しい仲間も増えたことだし、みんなで一緒に行くわよ!」
「合点っス」
「了解デ~ス」
「「「そこの可愛いお嬢さん! さぁ、召し上がれ!」」」
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