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主導権はずっと涼風が握っているままだ。
初めてのときと比べてみて、涼風には切羽詰まった様子は見られない。
──僕のこと……飽きてるのかな?
オメガのフェロモンに慣れてきたということだろうか。
確かに同じ匂いを嗅ぎ続けていれば、慣れも生じてくるだろうが、日頃から抑制剤を服用している立花は、涼風の前では匂いを漏らしていないはずだ。
「んっ……」
鼻先が首筋を掠めて、立花はびくりと肩を震わせる。
噛まれて涼風の番になれる予感に、一気に肌は粟立った。
「匂いが、漏れてるんだよ。俺の好きな匂いが。好きなんだと自覚する度に……溢れてくる」
「それが……運命なの?」
「俺はそう信じてる」
涼風が言うのなら、立花も同じ運命を信じたい。
青い瞳は欲情に溺れても美しかった。
指で慣らされた後孔に熱が押しつけられ、ぐっと体重をかけると切っ先が沈んでいく。
今までよりも興奮しきった彼のものは一際大きくて、全て飲み込むには困難をきわめた。
「あ、あぁっ! きつ……あ、さけ、ちゃう……! ん、ん、あっ、あぁ、ん」
恐怖で腰を引いてしまうが、そんな些細な抵抗も意に介さずに、硬直に育ったものは立花の身体を貫く。
痛みよりも苦しさが勝り、夢中で涼風の背中を爪で掻いた。
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