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「したい……涼風さんと」
立花が気持ちの通じないセックスを経験してきたから、行為をすること自体に嫌悪を抱いていると思って、涼風は自分の欲望を塞き止めているのだ。
空気を読んで立花もそう誘っているのではない。純粋に、好きな人と繋がりたいと感じていた。
「立花君……辛いだろう」
「大丈夫、です。ちゃんと最後まで頑張ります。……やっぱり、汚いから嫌ですか?」
「汚くない。立花君は綺麗だ」
その言葉を証明するように、立花の頭から足の爪先に至るまで、涼風はキスを施す。
洗ったばかりとはいえ、そんなところにまで口付けられるのは恥ずかしくて、立花は小さく身を捩った。
「んっ、ん……あ」
耳朶を優しく食まれて、思わず甘い声が漏れる。
唇で愛されている間に、纏っている衣服は全て脱がされ、貧相な白い身体を涼風の眼前に晒した。
「や……恥ずかし……い」
この前とは違う身体に、涼風が幻滅したらどうしよう。
立花の抱いている不安も絡め取って蕩かせるように、涼風は全身に愛撫を続ける。
そのうちに唇同士でもまた触れたくなって、消え入りそうな声でキスがしたい、と言った。
涼風は何も答えなくとも、立花の希望を叶えてくれる。
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