* Scent.6 *

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──気持ちいい……もっと、もっと欲しい。 今までにないくらいに、貪欲に男を求めている。 涼風がより入り込むと、立花は下肢をびくびくと震わせて、感じている声を上げる。 立花の身体が跳ねる度に、ベッドのスプリングが古めかしい音を立てた。 「あ、あっ、あぁ……ん。いっちゃう……! あっ、あ!」 腰を振る速度を緩めながら、涼風は耳元で「どっちで?」と聞いてくる。 短くした質問の意味が分かり、羞恥で顔を赤く染めた。 息を切らしている涼風だって、もう限界が近いはずなのに。 立花が意地悪な質問にわざと答えないでいると、涼風はそれを知っていながらゆっくりと腰を引く。 意地の張り合いは立花の負けだった。 「後ろで……イきたいっ……。お願い、いかせて……」 懇願すると涼風は1度引き抜いた熱を、ぐっと奥深くまで進めた。 あまりにも大き過ぎる快感に、一瞬意識が拐われて呼吸が止まる。 視界の端で白い光が舞って、昂った熱が全て冷めるまで、立花は切ない嬌声を部屋に響かせながら達した。 注がれる彼のものが腹の中で、立花の体温と溶け合う。 上がった息が収まるまで、涼風はずっと抱き締めてくれていた。 たくさんキスを浴びせられて、蟀谷や首がくすぐったい。
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