* Scent.6 *

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涼風の身体をまたいで、向かい合う格好で屹立を飲み込もうとする。 足を開くと精が内腿を伝ってどろっと溢れてきて、全身をぶるりと震わせた。 入り口に先を宛がい、後は体重をかけて沈めていくだけなのに、立花の意思だけではなかなか進めない。 「ん……んっ。あ、入っちゃう……」 1度受け入れていたとはいえ、この体勢では涼風のものをより深くまで咥え込むことになる。 根元にある亀頭球が臀部にぴとりとあたり、時間をかけて再びその熱を腹の中に収めた。 大きな胸へとしなだれると、立花は詰めていた息をようやく吐き出す。 「ぜんぶ、入った……涼風さんのっ、ここまで、届いてる……」 歪に膨らんだ腹を撫でて、立花は苦悶を取り払ったうっとりとした表情で言った。 涼風は華奢な身体を突き上げたい衝動に駆られていたが、怪我をしたほうの左手に小さな手を重ねられて断念する。 「あ、あっ、あぁ。……ひっ、ああぁ! あっ、あ、ん」 ぱちゅん、と湿った肉同士がぶつかる音を下肢で響かせながら、立花は甲高く喘いだ。 頭から爪先まで電流が走り抜けたみたいに、鋭く神経を焼く快感が襲う。 好きな人とする行為がこんなにも気持ちいいものなんて。 サービスとして過剰に声を出していたはずなのに、涼風とするときはそんなことを意識せずとも、甘い声が漏れてしまうのだ。
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